浜の宮王子社跡の熊野三所大神社と補陀洛山寺
ここは和歌山県東牟婁郡那智勝浦町浜の宮にある浜の宮王子社跡です。
現在、浜の宮王子社跡に建つのは、熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわしゃ)で、そのお隣には補陀洛山寺(ふだらくさんじ)があります。
新道と日本の仏教が融合する「神仏習合」の名残として今日見ることができます。
この記事では、熊野三所大神社と補陀洛山寺についてまとめました。
熊野三所大神社の大楠とサンゴの化石?

鳥居の前には樹齢800年といわれる浜ノ宮の大楠があります。
住心院僧正實意が記した「熊野詣日記」によると、足利義満の側室・北野殿も浜ノ宮王子を参詣されたとあります。
浜の宮王子は熊野古道の中辺路、大辺路が交わる重要な拠点であったと言われています。

鳥居をくぐるとサンゴの化石のようなものがありました。

鳥居から正面が熊野三所大神社です。
家津美御子大神、速玉大神、夫須美大神の三つの神様をお祀りされ、名前の由来と言われています。


補陀落山寺

補陀洛山寺の境内です。御朱印帳もいただくことができます。
補陀洛山寺には資料を基に再現された補陀洛渡海船と言われる船が展示されています。

全長6mほどの小さな船で、民衆を浄土に導くために9世紀から18世紀にかけてこのお寺の住職がこの船に乗って海の彼方へと目指し、二度と戻らなかったと言われています。
海の向こうに浄土があると信じられていて、船には4つの鳥居があり俗にいう棺桶船です。
11月の北風を待って、南を目指したと言われています。

平家物語には平維盛が入水したとあるように、海の向こうには浄土があると信じられていた時代で、このあたりの海は補陀落浄土に渡海する場所だったと言われています。
藤原宗忠の日記「中右近」には、浜ノ宮王子から南の海へ向かう景観が大変素晴らしいと記されています。
那智駅から徒歩5分ほどです。ぜひ一度立ち寄ってみてください。