2023年11月20日更新

伊勢神宮の鬼門を守る朝熊岳金剛證寺!パワースポットとしても注目のお寺

朝熊岳金剛證寺は家内安全、商売繁盛、学力増進、合格祈願、身体健康などさまざまな願いを叶えるパワースポットとして注目のお寺です。

通行料を支払いマイカーなどでのアクセスまたは登山でしか来ることができませんが、美しい景観と歴史ある境内・本堂が魅力で、伊勢神宮を参拝される方には特におすすめしたいお寺です。

朝熊岳金剛證寺は、今から1500年ほど前に暁台上人が創始したといわれています。

天長2年(825年)弘法大師により真言宗が開かれたあと、仏地禅師(ぶっちぜんじ)が再興して以来、臨済宗南禅寺派のお寺として信仰を集めています。

あまり知られていませんが、本堂では徳川家康公もお祀りされている名刹です。

この記事では

  • 朝熊岳金剛證寺までのアクセスと2ヶ所ある駐車場
  • 奥の院前駐車場から境内を散策
  • 奥の院(呑海院)卒塔婆の供養林

についてご紹介しています。

二見

伊勢市は伊勢神宮をはじめ猿田彦神社など、歴史と宗教が融合する場所。神秘的な雰囲気漂う神宮や猿田彦神社、伝統的な建造物が魅力。

おかげ横丁では地元の食や品々を楽しめます。

二見まで足を伸ばせば美しい海岸線や自然も魅力で、伊勢志摩の観光拠点としても人気。

古都の風情と新たな発見が楽しめる場所です。

朝熊岳金剛證寺までのアクセスと2ヶ所の駐車場

「伊勢志摩スカイライン」は、伊勢市と鳥羽市を結ぶ有料道路で、朝熊岳金剛證寺まではどちらの入口からでも約20分ほどで行くことができます。

※伊勢市と鳥羽市を結ぶ有料道路について
2022年11月に日産自動車株式会社が三重県観光開発株式会社から命名権を取得し、「伊勢志摩スカイライン」から「伊勢志摩e-PowerROAD」へと改称されていましたが、契約期間満了により令和5年11月1日より「伊勢志摩スカイライン」に従来の名称に戻りました。

伊勢志摩スカイライン通行割引

通常通行料金が割引になります。これ使わないともったいない。

伊勢志摩スカイライン(外部サイト)にアクセスしてトップページにある「通行割引券」と書かれたリンクをたどると、「伊勢志摩スカイライン通行割引券」(PDFファイル)が表示されますので、スマホ画面の提示または、印刷して使用してください。

※2024年3月31日まで有効

★自動二輪 900円→720(割引後)
※125cc以下は通行不可

★軽・普通自動車 1270円→1020円(割引後)

鳥羽料金所からは、朝熊山山頂方面へ行く道路標識を右折し、道なりに進むと朝熊山山頂展望台へ。また、その道途中手前を左折すると朝熊岳金剛證寺の奥の院の駐車場へ行くことができます。

伊勢料金所入口からは、有料道路沿い左手に朝熊岳金剛證寺の入口があり、そのまま車で駐車場まで入場できます。

平日に参拝したからか人もまばらでしたが、毎年6月27日から29日に行われる開山忌では、数万人の人々が参詣に来られるとあって、周辺には広々とした駐車場もあります。

駐車場は奥之院(極楽門前)と仁王門近くにそれぞれ1ヶ所ずつあります。

奥の院(極楽門前)駐車場

鳥羽市料金所方面から朝熊山山頂展望台を観光してから車で来る場合など、奥の院近くの駐車場が近いためこちらに車を停めて参拝することができます。

奥の院(極楽門前駐車場)から金剛證寺境内へと進むには、極楽門とは反対方向の下り坂を進み、明星堂前の道を左へと進み、本堂、最後に奥の院を参拝するコースがおすすめです。

奥の院(極楽門前駐車場)から実際に歩いた境内のコースは後述しています。

極楽門
極楽門前にも駐車所があります

仁王門駐車場

伊勢料金所入口から来られた場合は、仁王門に近い駐車場から参拝順序が書かれた案内板どおり時計回りに参拝するとスムーズです。

仁王門駐車場から境内を歩く

仁王門駐車場・・・・本堂・・・明星堂・・・極楽門・・・奥の院・・・明星堂・・・開山堂・・・仁王門駐車場(ゆっくりで約1時間)

本堂を参拝したあと、そのまま奥の院方面へと進み参拝後、また引き返して明星堂前の道を左折、開山堂の前をまっすぐに進み坂を下ると駐車場まで戻ってくることができます。

金剛證寺門
伊勢市料金所から来た場合はこちらの金剛證寺駐車場

極楽門前駐車場から境内を散策

朝熊岳金剛證寺はお伊勢参りを終えた人々が参詣する習わしとされている名刹で、
「お伊勢まいらば朝熊をかけよ朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭の歌詞にもあるように、金剛證寺での参拝はお伊勢参りの完結として捉えられていたようです。

極楽門前駐車場から境内を歩く

奥の院極楽門前駐車場・・・八大龍王社登山口・・・明星堂・・・開山堂・・・仁王門・・・連間の池・・・矢負け地蔵・庚申堂・重軽地蔵・・・仏足石・・本堂・・・奥の院極楽門前駐車場(ゆっくり1時間ほど散策)

八大龍王経ケ峯参詣道入口

参詣道入口から八大龍王社と朝熊山経塚へと行くことができます。

経塚とは、仏教の経典を写して陶器などの筒に入れ土の中へ納めた遺跡のことで、平安時代末期に流行した風習といわれています。

朝熊山経塚からは、昭和34年の伊勢湾台風による倒木で多数の出土品が発見され、一部国宝に指定されているものもあります。

明星堂
明星堂

奥の院近くにある駐車場(極楽門前駐車場)から奥の院とは反対方向の下り坂を進むと、右手に朱色のお社「明星堂」がみえてきます。

明星堂は、伊勢神宮の鬼門除けのために明星天子をお祀りしており、明星とは「国土安穏智慧成就」の仏神といわれています。

少し先に進むと左手に進む道があるので、そこを曲がると開山堂へ行くことができます。

開山堂
開山堂

開山忌の期間、開山堂では朝熊岳金剛證寺の中興開山の祖である仏地禅師の命日(6/29)の法要や、初めてお盆を迎える仏さまの施餓鬼(せがき)などが行われます。

仁王門へと進みます。

仁王門

石段下まで降りて仁王門をみると、風情があってなかなか良い景色が見られます。

この日はお天気もよく、新緑の景色が美しい仁王門でした。ぜひ下から眺めてみてください。

再び仁王門をくぐり、境内へと進みます。

仁王門から境内へ

右手には連間の池(つれまのいけ)があり池の中央には朱色の連珠橋(れんじゅばし)がみえます。

連珠橋と雨宝堂

連珠橋の前まで来ました。

池の向こう岸(彼岸)に建つ御堂は、神仏習合思想の神像、雨宝童子尊を祀る。この神像は、大日如来の化身である天照大神が日向国(宮崎県)に降り立った十六才の御影(おすがた)を、弘法大師が感得して刻まれたと言い伝えられ、国の重文である。

案内板より抜粋

朱色の連珠橋を境に、迷いの世界(此岸)と悟りの世界(彼岸)が表されています。

また、この池は弘法大師が掘ったと伝えられ、数百の睡蓮の花が5月中旬から9月にかけて咲き誇ります。

連間の池

写真は4月に行ったときのものなので、睡蓮の花は咲いていませんでしたが、見事な鯉がのんびりと泳いでいる様子を見ることができます。

重軽地蔵尊
重軽地蔵尊

仁王門からまっすぐ突き当たりにあるのが、徳川五代将軍綱吉公の母である桂昌院が寄進された国の重要文化財である矢負地蔵尊と庚申堂です。

庚申堂の前には厄除け六地蔵尊(重軽地蔵尊)があり、祈念する前と祈念した後の重軽地蔵尊を持ち上げた重さの感じ方によって、願いを聞き届けていただけたかどうかがわかるというものです。

祈念される場合は作法が書かれているので、興味のある方はぜひお願いしてみてください。

このように、金剛證寺境内には「作法通りに行い重さの感じ方によって願いが叶う」や「撫でると良い」など、自分の運勢を試すための体験ができる場所がいくつかあります。本堂の中にもそのような場所があるので、お参りする際にチェックしてみてください。

仏足石
国宝の仏足石

本堂へ通じる石段をあがるところに仏足石があります。日本最古の仏足石で国宝です。

御本堂

御本堂へと石段を上ります。

本尊 福威智満虚空蔵大菩薩(ふくいちまんこくぞうだいぼさつ)とともに天照大神をお祀りし神仏習合の思想をあらわしています。

不思議な力により窮地に陥ったものを救う菩薩といわれ、たくさんの人々に信仰されています。

「家内安全」「商売繁盛」「社運隆昌」「身体健康」「厄除開運」「病気平癒」「学力向上」「合格祈願」「心願成就」など御利益をいただくことができるといわれています。

石段をあがったところ向かって左に福丑、右に智慧寅が鎮座しています。

福丑に触れれば心清く意志堅固となり福徳智慧増進し身体健康の御利益が授けられると書かれています。

こちらでも撫でると御利益がいただけるとあって、さまざまな人がこの福丑に触れ願いを込めたのか、神々しくツルツルに輝いていました。

智慧寅は、まさに寅の像で大変勇ましい顔をしており、御本尊の広大なお智慧を戴いた寅の像と案内板に書かれていました。

撫でるだけ撫でて本堂へと進みます。

本堂の中は撮影禁止です。本堂の中にも撫でると御利益がいただける箇所があります!

本堂はたびたび火災にあっており、徳川家康は慶長14年(1610年)姫路城主池田輝政に再興を命じています。

本堂でお参りする際に、向かって右奥には徳川家康公がお祀りされています(像がみえますので、お参りする際に右奥を覗いてみてください)。

御朱印帳は本堂内にていただけます。本堂で静かに手を合わせてお参りし奥の院へと進みます。

奥の院(呑海院どんかいいん)卒塔婆の供養林

奥の院卒塔婆

極楽門をくぐると、卒塔婆が番地ごと(一番地の一から八番地まで)に整然と建立されています。

卒塔婆は略して塔婆とも呼ばれ、伊勢志摩地方では朝熊山が天に近いとされることから、死者を弔うために宗派を問わず卒塔婆を立てて供養する岳参りといわれる習わしがあります。

岳参りによって供養された御霊は、悪業を速やかに消し功徳を得ることができるといわれ、お地蔵様のお慈悲とともに極楽浄土へと導かれていきます。

卒塔婆の供養林
霊峰朝熊岳に卒塔婆を建て、亡き人の追善菩提を弔うのは死者の霊魂は全く別の世界に行ってしまうわけではなく現実の山の中に死者の霊が集まる「他界」がある、という捉え方(山中他界観)が古代より私たちに引き継がれているからです。

卒塔婆供養林案内板より

※ちょこっとお金の話
卒塔婆は高さや建立期間によって金額が決まり、45cmほどで500円(建立期間1ヶ月未満)のものから8mでは50万円(6年間)のものまであります。(令和5年4月現在)

卒塔婆の参道を抜けると奥の院(呑海院)です。お参りをして御朱印帳もいただくことができました。

金剛證寺を歩いてみて

江戸時代に流行したといわれるお伊勢参り。伊勢神宮の北東に位置し、鬼門を守るお寺として金剛證寺を参詣し完結するのが常でした。

そのような金剛證寺は、想像以上に美しく荘厳な雰囲気があり、心身ともに晴れやかな気持ちで帰路につくことができました。

この記事では、

  • 金剛證寺までのアクセスと2ヶ所の駐車場
  • 極楽門駐車場から境内を散策
  • 奥の院卒塔婆の供養林

をご紹介しました。

重軽地蔵尊での体験や福丑をただ撫でるだけなど、運試しの要素がある境内では、景観とともに金剛證寺を堪能することができます。機会があればぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。